27日目 至仏山バックカントリースキー

2022.05.02

 

ゴールデンウィーク登山3日目は群馬県至仏山(しぶつさん)(今日も読めない)。スキー板を履いて登り、下山は滑って降りてくるバックカントリー(BC)スキーです。

今日の日記は3000文字を越えてしまいました。それってもはや日記か?

 

1年間のうち、ゴールデンウィーク前後の約2週間しか解放されない残雪期の至仏山バックカントリー愛好家に有名だそうです。日本人らしく期間限定という言葉に弱いのでホイホイと釣られて滑ってきました。

至仏山へは、国立公園やハイキングコースで有名な尾瀬からアクセスします。実は尾瀬に訪れるのはこれが初めてです。

 

鳩待峠の駐車場は空きあり

尾瀬観光の基点となる鳩待峠駐車場は日によっては満車になり、ふもとの駐車場からバスや乗り合いタクシーを使うことになるとのことでしたが、前日の夕方は空きありでマイカー通行可能になっていました。

前日は昼過ぎからずっと雨に降られていたのですが、鳩待峠に近づき標高が高くなっていくと、雨から雪に変わりました。寒い地方では5月でも雪が降るんですねぇ。

 

駐車場に着いてから、昨日の夜のうちにスキー板の裏にシール(進む方向には滑るけど、後ろ方向には滑らなくなる魔法のアイテム)を貼って準備を済ませておきました。

天気予報によると日中はバッチリ登山指数A。今日は天気を気にせず登ることが出来そうです。

 

登山自体の所要時間は全体で5時間程度と想定しているので、特に早く起きる必要はありませんでしたが、なんとなく5時に目覚ましをかけて就寝しました。ところが、フリードスパイクでの車中泊が快適過ぎて2度寝し、結局6時まで寝てしまいました。

ダイレクトマーケティングですがフリードスパイクは車中泊性能最強なのでおススメです。荷室が完全フルフラットになるので身長183cmの自分でも足を伸ばして寝ることが出来ます。もはや家。

6時に起床しサンドウィッチを食べ、6時40分頃出発しました。

 

尾瀬の入口

駐車場のすぐそばの観光センターでは、ちょうどバスが来たのか20人くらいの登山者がやってきました。ゴールデンウィークだけあって賑わっています。

 

スキー板装着

登り口で早速板を装着。ハイクアップモードでは、ブーツのつま先の両側に開いた穴に、ビンディングのピンが刺さる形で固定されます。かかとは自由に動くので、シールと併せて板を履いたまま雪面を登ることが出来る様になります。

周りで準備している方々の話を聞いていると、今年はかなり雪が多いようです。例年は登り口にはそんなに雪が残っていないのかな?

 

残雪期入山者への案内板

残雪期入山者への案内板が立っています。今回は、至仏山から東南東方向に滑り降りる「滑走可能ルート(ワル沢へ)」を目指します。この情報はインターネットにも公開されていて、公式にこういった案内があるのは非常に珍しいと思います。

バックカントリー自体は友人と一緒に数回の経験がありますが、ソロでのバックカントリーは今回が初めてです。かなりの危険があることは承知しているのですが、この情報が決め手になって今回の計画を決行した所があります。

少し脱線しますが、昨日5月1日に鳩待峠西側の谷で登山者の男性の死体が発見されています。4月26日に入山された方だそうで、詳細な情報が無いので通常の登山かバックカントリーかもわかりませんが、雪山に行く以上無関係な話ではありません。多少雪山に慣れたような気がしてきても、いつまでも気を緩めずに細心の注意を払って向き合わないといけないですね。亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

 

山頂周辺は雲に覆われている

話を戻して登っていきます。今日は1日晴れ予報でしたが、山頂周辺は雲に覆われています。

少し歩いていて気が付いたのですが、右足のBC用ブーツが若干壊れています。ウォークモードと滑走モードを切り替えて足首の可動域を変更するレバー?があるのですが、そのレバーを跳ね上げておくためのバネを引っ掛けるピンが抜け落ちて無くなっています。たいした故障ではないと思いますが、購入したショップに修理を依頼しないといけないですね。

 

視界悪し

順調に進んでいきますが視界は悪いです。こんなはずでは…

 

至仏山の石碑

中継地点の小至仏山に到着しました。この石碑は岩や植物に覆われていて板を履いたままでは近くに行けない場所にあったので、Pixel 6 PROの4倍望遠カメラで遠くから撮影して済ませました。便利ー。

山頂はまだ曇り

登り口から2時間半で約5km登って、結局曇りのまま山頂に着いてしまいました。仕方がないので板からシールを剥がしたり、パンを食べたりして晴れるのを待ちます。

視界こそ悪かったですが、登ってきたコースには特に難所は無く、人も多かったので安心して登ることができました。

 

ようやく晴れた!尾瀬の雪原を一望

ときどき晴れ間が出ては曇りを数回繰り返し、20分程待ったところでようやく晴れました。尾瀬の雪原を一望できます。この景色だけでも十分に登ってきた価値がありますが、今回のお楽しみはこれからです。

 

先行するテレマークスキーヤー

ここからは、広い雪面をどこでも自由に滑ることができるボーナスタイムです。自分とほぼ同じタイミングで山頂に着いたテレマークスキーとBCスキーの2人組が先行して滑っていきました。序盤はどこを滑ってもいいのですが、8割近く滑り降りた後に沢に架かったスノーブリッヂを2回渡ることになるので、その場所だけ間違えないように、後は自由に滑り降ります。

 

一面パウダースノー

雪質は重いパウダーという感じ。数か月ぶりのスキーで最初だけ緊張しましたが、慣れてくるとたまらない快感です。

うぉぉ、自由だ。自分は今自由を手にしている…という謎の快感に包まれました。鬱屈した現代社会に窮屈さを感じているそこのあなた、バックカントリーをやりましょう。

 

山頂を見上げる

ものの数分で山頂は遥か彼方。これだよこれ。重い板を履いてわざわざ登った苦労を楽々帳消しにしてくれる抜群の報酬です。

ほとんど下り終えたあたりで木々の間に入ってツリーランになります。斜度はほとんど無くなっているので木に激突する様な危険さはなく、かといって止まってしまうこともなく、快適に木々の間を抜けていくと、次第に沢の流れる音が聴こえてきました。

 

ワル沢のスノーブリッヂ

1回目の沢であるワル沢に架かるスノーブリッヂ。画像だと良く分からないですね。

 

オヤマ沢のスノーブリッヂ

こちらはわかりやすいですね。2回目の沢、オヤマ沢のスノーブリッヂです。画像だとかなり細くてもう崩れそうに見えますが、実際に細くてもう崩れそうです。恐い。

沢を渡る箇所は、前々日にBCをしていた人のログを参考に、かなり慎重に場所を確認しながら進みましたが、結果的にはトレースに導かれるままに進んでいけば素直にたどり着く場所にありました。

残りは登山道に向けて少しだけ登り返して終了です。山頂から駐車場までは1時間もかからず帰ってきてしまいました。

 

駐車場に帰ってくると係りのおじさんが出迎えてくれました。そしてなんとこの駐車場の一日料金、2500円です。流石、尾瀬

駐車料金2500円

 

色々ありましたが振り返ってみると、いやー楽しかった。スキー体験としては人生で一番楽しかったかもしれないです。これがバックカントリーの醍醐味か。

非常に楽しい山だったので、来年以降も是非行きたいです。沼田インターから行けるのでアクセスもいいですし、今度は大勢で訪れてみたいですね。

 

それでは、また明日。